2018 18th
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コンクールレポート

本選 10月14日

10月14日(日)、東京オペラシティコンサートホールで、第18回東京音楽コンクール〈指揮〉の本選審査が行われた。本選審査に臨むのは日本から3名、カナダから1名の4名だ。本選審査はコンサート形式で行われ、課題曲のメンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」作品27と、参加者があらかじめ選んだ3曲の中から実行委員会が選ぶ自由曲1曲を演奏する。

本選のオーケストラは、第一次・第二次予選とは変わって新日本フィルハーモニー交響楽団が担当する。出場者4名は同オーケストラとのリハーサルを12日(金)・13日(土)の両日に終えて、今日を迎えた。場内の1階席はほぼ満員、2階席も埋まりつつある。

1番目の演奏はアール・リー氏。課題曲では、大きな体を使いオーケストラを鼓舞するようにダイナミックな振りを見せる。自由曲はチャイコフスキーの「交響曲第6番ロ短調 作品74」より第1楽章。曲をしっかりと把握して聴き応えのある演奏をつくりあげた。

2番目の沖澤のどか氏はタキシードで登場。小柄だが振り出すと大きく見える。弾けるような活気あふれる指揮でオーケストラを乗せていく。自由曲はR.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20。オーケストラを十分に鳴らし、輝かしく波乱に満ちた生涯を表現した。

3人目の熊倉優氏は、課題曲の冒頭では抑えた緊張感のある振りだが、後半には足を踏み変えるほど大きな指揮へと変わる。自由曲はドヴォルザーク「交響曲第7番ニ短調作品70」より第1・4楽章を演奏。こちらは最初から伸び伸びとした大きな振りで、第4楽章の決然とした指揮が印象に残った。

最後の横山奏氏は理知的とでも呼べる端正な指揮を見せた。ラストの喜ばしいフレーズでも伸び上がるようなことはない。自由曲は、エルガー「エニグマ変奏曲」より第9変奏ニムロッドから最後までを演奏。身近な人々への愛と尊敬にあふれたこの曲に、横山氏の穏やかな指揮が良くマッチしていた。

審査の結果、1位:沖澤のどか氏、2位:横山奏氏、3位:熊倉優氏と順位が決定した。齋藤秀雄賞は沖澤氏、聴衆賞は横山氏に贈られた。

コンクールレポート_本選_キャプション

第2次予選 10月10~11日

2018年第18回東京音楽コンクール〈指揮〉の第二次予選が、10月10日(水)、11日(木)の2日間にわたり開催された。会場は第一次予選と同じ東京オペラシティコンサートホール。第一次予選に参加した18名の中から8名が第二次予選に進出し、1日に4名ずつ審査が行われた。

課題曲は武満徹「弦楽のためのレクイエム」、バルトーク「管弦楽のための協奏曲 第1・第4楽章」、そしてラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30」の3曲。場内の聴衆は第一次予選よりさらに増えているようだ。オーケストラ演奏は第一次予選に続き東京フィルハーモニー交響楽団が務める。

審査は前半と後半に分けて行われた。審査の前半では、8人全員が武満の曲を先に、バルトークを後に振った。参加者は指揮をしつつ“ここはダンスをするように”、“気持ちあたたかめの音から始めてください”、などと様々な言葉でオーケストラに注文を出していく。

後半のラフマニノフでは、ソリスト横山幸雄氏の流れるようなピアノ演奏に合わせて指揮をしながら、同時にオーケストラが出している音もしっかりと聴かなければならない。参加者のうち何人かは緩急のあるピアノのリズムを掴みきれず、オーケストラとピアノの間にズレを生じさせてしまった。しかし中にはしっかりとピアノに合わせた上、さらにオーケストラに向かい細かい指示を出す参加者もおり、指揮者としての能力の高さを感じさせた。

審査の結果、4名が、14日(日)午後1時から同ホールで行われる本選へ出場することとなった。本選は課題曲のメンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」作品27と、参加者が選んだ自由曲3曲の中から実行委員会が演奏曲目を決定する。

第2次予選

第1次予選 10月8~9日

10月8日(月・祝)と9日(火)の2日間にわたり、東京オペラシティコンサートホールで、東京国際音楽コンクール〈指揮〉の第一次予選が開催された。この予選には、238人の応募者の中から書類・映像による選考で選びぬかれた18人が参加。参加者の国籍は日本、中国、オランダ、韓国、ウズベキスタン、アメリカ、カナダ、ロシア、ベラルーシと幅広い。第一次予選は8日の13時からスタートした。コンクール開始前にはすでにホールエントランスに入場待ちの列ができており、関心の高さが伺える。

参加者はそれぞれ20分の持ち時間で、ハイドンの「交響曲第82番ハ長調 Hob.I:82」の指揮をする。第一次・第二次予選では、演奏を東京フィルハーモニー交響楽団が担当した。観客席からは指揮者の背中を見ることになるが、オーケストラ側に取り付けられたカメラの映像がホール内のモニターに映されており、これによって振っている時の表情もよく分かるようになっている。

参加者たちはステージに立ち、指揮や言葉での指示を通じてみずからの音楽のアイデアを表現しようとする。その思いをオーケストラに伝え、表現を完成させるには20分はあまりにも短い。しかし全力でチャレンジした熱意は観客にも伝わり、場内からは温かい拍手が送られた。

2日間の審査の結果は9日の午後6時に発表され、8名の参加者が第二次予選へと進出した。第二次予選は9月10日(水)・11日(木)の2日間にわたり、武満徹「弦楽のためのレクイエム」、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30」、バルトーク「管弦楽のための協奏曲 第1・第4楽章」で競われる。

第1次予選 1日目
第1次予選 2日目