NEWS

HOME > NEWS > <19th> 参加者プロフィル vol.1

第1次予選参加者のプロフィル&インタビューを掲載します。
初回は、上田 絢香さん(日本)、米田 覚士さん(日本)、サミー・ラシッドさん(フランス)です。
<掲載は順不同、以下敬称略>




上田 絢香 (日本)


上田絢香(ウエダ・アヤカ) 1986年2月7日生

エストニア国立音楽アカデミーでオーケストラ指揮専攻および合唱指揮専攻修士課程修了。2015年ヴィル=ダヴレー国際合唱指揮コンクール(パリ)第2位受賞。2020年ヨルマ・パヌラのマスタークラスを受講。2021年ピエール=ミシェル・デュランのワークショップを受講。これまでに、エストニア国立交響楽団やMAV交響楽団(ブダペスト)などを指揮。指揮をアルヴォ・ヴォルメル、ユリ・アルペルテン、トヌ・カリユステ、山田和樹、今村能に師事。


1)音楽に興味を持ち始めたのは何歳くらいのことでしたか? また、それはどんなことがきっかけでしたか。


小さい頃から音楽教室に通っていたこともあり、ピアノを弾くことは好きでした。小学生の頃は学校行事のときによくピアノ伴奏をしていました。

中学生のときに合唱部に入って、仲間と一緒に音楽をつくる楽しさを知りました。一人では出せない音が何人か集まると出せることがとても楽しく、人と一緒にハーモニーを奏でることができるって凄いと感動しました。それが音楽に興味を持つようになったきっかけで、今のわたしの原点だと思います。

2)これまで演奏したことのある楽器と、それを始めた年齢、どこで始めたかを教えてください。


ピアノを3歳からヤマハ音楽教室に通って習い始めました。歌が好きで、中学生のころからは声楽のレッスンにも通っていました。

3)なぜ指揮者を目指そうと考えたのですか?


初めは合唱指揮者になりたくて、エストニア国立音楽アカデミーの合唱指揮科で学びました。コンサートでオラトリオを演奏する機会があり、実際にオーケストラを指揮したときに、自分の中に足りないものがあることに気付かされました。

留学する前に、オーケストラのリハーサルを見せていただいたり、演奏会に足を運んだりするなかでオーケストラへの興味と憧れがあったこと、そして音楽アカデミーのスコアリーディングの先生に「もっと大きな世界を見なさい」と背中を押され、再入学してオーケストラの指揮科で勉強することを決めました。そこで信頼できる素晴らしい先生方と出会うことができました。

4)もし指揮者として活動していなかったとしたら、今何をしていると思いますか?


おそらく学校の先生をしていると思います。


5)指揮者にとって大事なことは何だと思いますか? 


一つは「音楽が好き」という強い気持ちだと思います。それは、もちろん楽曲に対しての深い理解や共感、演奏者に対しての尊敬などもあって生まれる気持ちだと思いますが、自分が演奏する曲に夢中になれるかどうかは、とても大切なことだと思います。

もう一つは「諦めない」こと。これは音楽アカデミーのスコアリーディングの先生から言われた言葉です。自分で諦めたらそこで終わりだと言われました。落ち込んだり反省したりすることは多いですが、諦めずに常に挑戦し続けることが大事だと思います。

6)東京国際音楽コンクール〈指揮〉に参加しようと思った経緯を教えてください。


以前からこのコンクールのことは知っていましたが、大学院を卒業後、次の目標になる指揮のマスタークラスやコンクールを探していたときに、この東京国際音楽コンクール〈指揮〉の参加規定を見つけ、今年が開催の年であることを知りました。「チャレンジ出来ることは全部したほうがいい」という指揮の先生の一言で、参加を決めました。

---


米田 覚士 (日本)

米田覚士(ヨネダ・サトシ) 1996年8月19日生

東京藝術大学指揮科卒業。2017年、パーヴォ・ヤルヴィのマスタークラスと、山田和樹の熊本における指揮法講座を受講。2020年、渋谷区文化総合センター大和田開館10周年記念演奏会で、大和田祝祭管弦楽団を指揮した。指揮を高関健、鈴木織衛、小田野宏之に師事。


1)音楽に興味を持ち始めたのは何歳くらいのことでしたか? また、それはどんなことがきっかけでしたか。


姉のピアノのレッスンの送り迎えに付いて行ったり、姉の練習の邪魔をしたりしていたら、やがて自分もピアノを習わせてもらうことになりました。

加えて、小学校2年生の時に入団した少年合唱団では、5年生の時にマーラー「交響曲第8番」の演奏に児童合唱で参加する貴重な機会に恵まれました。その時のオーケストラの迫力(その時はトロンボーンが目の前の位置で、曲の最初から大活躍でかっこよかった!)に憧れ、中学1年より岡山のジュニアオーケストラに入団し、打楽器を担当しました。

これらすべての瞬間でハッとするような輝きを感じ、その度に何度も音楽に出会い直した感覚があります。

2)これまで演奏したことのある楽器を教えてください。


ピアノ、打楽器。

3)なぜ指揮者を目指そうと考えたのですか?


ジュニアオーケストラで打楽器をはじめたばかりの時、音数の少ない楽器を担当しながら「自分の出番はまだかなぁ〜」と指揮者を眺めていたら、興味が湧いてきたことがきっかけです。特に「アルルの女《ファランドール》」でプロヴァンス太鼓のパートを叩いた時、指揮者に吸い寄せられ、みんなで一つの大きなものを作り上げていく空気感に心が震えたことは、今でも昨日のことのように思い出します。指揮者になりたいと肌で感じた中学2年生の出来事でした。

4)もし指揮者として活動していなかったとしたら、今何をしていると思いますか?


大道芸人、牡蠣の養殖業、長距離トラックの運転手。

5)指揮者にとって大事なことは何だと思いますか? 


愛すること。
寄り添うこと。
受け止めること。

6)東京国際音楽コンクール〈指揮〉に参加しようと思った経緯を教えてください。


本コンクールでの先輩方の活躍をきっかけに存在を知り、本コンクールでの経験を通じて成長したいとの思いから参加を決意しました。

---


Samy RACHID / サミー・ラシッド (フランス)

Samy RACHID(サミー・ラシッド) 1993年1月6日生

バーゼル音楽大学に学び、2020年秋から指揮をマチュー・ヘルツォークに師事。チェリストとしてのキャリアが長く、パリ国立高等音楽院に学び、2015年カール・ニールセン国際室内楽コンクールおよび2016年ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門で第1位(いずれもカルテット・アロドとして)受賞している。


1)音楽に興味を持ち始めたのは何歳くらいのことでしたか? また、それはどんなことがきっかけでしたか。


両親の影響でクラシック音楽を好きになりました。我が家では音楽をよく聞きましたが、ほとんどオペラ音楽ばかりでした。また両親はコンサートにも何度か連れていってくれました。しかし、私が楽器を演奏したいと言い出したら、両親はとても驚きました。

2)これまで演奏したことのある楽器と、それを始めた年齢、どこで始めたかを詳しく教えてください。


以前パリの近くの町に住んでいて、その町の音楽クラブで10歳の時にチェロを始めました。そして後にマルセイユの音楽院に入学してチェロを学ぶようになりました。

3)なぜ指揮者を目指そうと考えたのですか?


学生の時にたくさんの青少年オーケストラで活動し、偉大な指揮者たちに会ってともに演奏することができました。とても刺激的で、人生を変える経験でした。

その時はオーケストラのレパートリーに専念するつもりでしたが、パリで音楽を学んでいる時に、3人の学生たちと一緒に弦楽四重奏団を結成しました。その四重奏団「カルテット・アロド」で7年間過ごした後、私には本来の情熱が戻ってきたのです。私が指揮者になりたいという思いは、チェロを始めた時からはっきりしていました。そして今オーケストラ奏者たちと音楽の瞬間を共有できるのは最高の気持ちです。

4)指揮者にとって大事なことは何だと思いますか? 


指揮者は他の一般の音楽家たちと同じように、曲を研究するにあたっては、当時の音楽を理解しオーケストラと一緒に誠実な解釈を生み出すため、その作曲者のことだけでなく、歴史的背景、文学、芸術、そしてそれらの周りに付随するすべてについて、できるだけ多くのことを知る必要があります。今私たちは、当時とまったく違う世界に住んでいるのですから。

---