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4人の本選参加者のコメント
インタビュアー:池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®︎


第1位:コルニリオス・ヴィクトル・ミハイリディス



初めて日本に来ました。第1次予選のモーツァルトも難物ですが、第2次予選の3曲はどれも大変、しかも振ったことのない作品でした。それでも私は考えます、「難しくない音楽など、あり得ない」と。指揮者は一生かけて理解していくのです。日本の楽団と共演するのはもちろん初めてでしたが、予選の東京フィルハーモニー交響楽団も本選の新日本フィルハーモニー交響楽団も最初の段階から細かいところまで準備が行き届き、ファンタスティックでした。新日本フィルは本選の曲目を直前に知らされるにもかかわらず、とても素晴らしく対応します。ショスタコーヴィチの「交響曲第10番」は以前に1度振った時に深く共感、今回の挑戦にふさわしいと考えました。作曲者と親交のあったロストロポーヴィチさんが関係したオーケストラと、この作品を演奏できたことは大きな喜びです。日本は文化や食事も含め長く憧れの国でしたから来年、入賞者記念演奏会で再び訪ねる機会を楽しみにしています。



第2位:ライリー・ホールデン・コート=ウッド



8歳の時に家族旅行で訪れたのを別とすれば、指揮者として初めての日本でした。指揮者コンクールを受けるのも初めてです。来日前にすべての曲の準備を終えることができ、ホッとしました。審査委員の先生がたの顔ぶれが日本以外にウィーン、フィンランド、オランダ、米国、英国と多彩なのも驚きです。結果として残った4人(ファイナリスト)の傾向も、とても異なります。2つの日本のオーケストラはともに高水準でしたが、持ち味は非常に異なり、東京フィルのサウンドはよりドイツ的と思いました。本選自由曲の《スコットランド》は私とBBCスコティッシュ交響楽団の関係も踏まえての選曲。「ファイナルまで来たのだから、出せるだけ出して弾けよう」と思い、これまた生まれて初めて暗譜で本番に臨んだのですが、ちょっと突っ走ってしまいました。入賞者記念演奏会でNHK交響楽団を指揮する機会も授かり、感謝しています。



第3位:吉﨑理乃



国際指揮者コンクールを受けたのは初めて。ビデオ審査を通った時点でもう、驚きでした。私はまだ学生ですからプロのオーケストラとの共演は非常に少なく、1次予選から東京フィルを振ることができたのは幸運であり、挑戦でもありました。公開リハーサル形式で審査委員の先生だけでなく、一般のお客様の前でプロオケを指揮するのですから、さらに緊張しました。特に2次予選は大変でシューマン、バルトーク、シベリウスと全く異なる3曲を限られた時間内にどう描き分けるか、非常に苦労したと思います。本選自由曲に《死と変容》を挙げたのは、R・シュトラウスが一番好きな作曲家だからです。この曲は以前に1度指揮したことがあり、これから一歩ずつ自分との距離を縮めていくに当たり、最高の機会と考えました。1位も2位も私より年上で、リハーサルの手際も含め、すでにプロのキャリアを歩んでいる方々と一緒にコンクールを受け、この評価をいただいたことに感謝します。色々な刺激を受けました。



入賞:岡崎広樹



大きな指揮者コンクールを受けるのは、もちろん初めてでした。最初のビデオ審査から緊張の連続で、まさか自分が予選に残れるとは思ってもいなかったのです。1次、2次、本選と進む中で色々、見えてきたものもありました。声楽から指揮に転向、とみられがちですが、元々が指揮者志望で、その準備段階で声楽を学んだというのが真相です。このタイミングでコンクールに飛び込み、それぞれの参加者の個性や方向性に触れるうち、今の自分に不足しているものは何か、本番の空気感はどうつくるのか…など、たくさんのことを考えることができたのは幸いでした。