2009
15th
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入賞者発表記者会見

平成21年11月2日(月)午後2時~3時
パークハイアット東京 39階ヴェネシアンルーム

入賞者発表記者会見は、都内パークハイアット東京の39階ヴェネシアンルームで開催された。
主催者あいさつ
組織委員長 小林啓泰
(財団法人民主音楽協会 代表理事)

本日はご多忙の中、お集まりくださりありがとうございます。そしてまた、皆様には民音の事業への深いご理解と厚い支援を賜りました事を心より感謝し、御礼を申し上げたいと思います。
東京国際音楽コンクール<指揮>は3年に一度の指揮者のコンクールとして開催しており、若い指揮者の登竜門として、アジアを代表する国際コンクールとの高い評価を得るにいたっております。これまで入賞者が38名、入選者は34名を超え、この中から世界に多くの良い人材が輩出されましたことは、皆様ご存知の通りでございます。そして、何よりも、厳正なる審査に当たってくださった、外山雄三先生をはじめ、審査委員の諸先生方、そしてまた、参加者の演奏を担ってくださいましたオーケストラの皆様にはこの場をお借りいたしまして、深く感謝を申し上げたいと存じます。
特に今回の審査委員は日本を代表する指揮者の先生方をはじめ、海外の審査委員は世界の音楽界を代表する先生方に集っていただき、私としては、名実ともに世界有数の指揮者コンクールになりえたと、この上ない喜びでございます。
今回の申し込みにつきましては、33カ国・地域から152名のお申し込みがございました。6月に書類・ビデオ選考を行った結果、5カ国7名の方が予選を通過をされました。
うち、1名の方は棄権をされました。第一次予選は4カ国5名(日本2名、韓国1名、ロシア1名、フランス1名)の皆様が、第二次予選では3カ国3名(日本1名、ロシア1名、フランス1名)の方達が通過し、本選に進まれたわけでございます。
そして昨日、11月1日、本選が行われた結果、1位、2位なしの第3位にミハイル・レオンティエフさんが入賞され、松井慶太さん、ジュリアン・ルロワさんが入選という結果になりました。入賞されましたミハイル・レオンティエフさんは、来年3月、東京オペラシティコンサートホールと、兵庫県立芸術文化センターで行われる、入賞デビューコンサートへの出演が決定しておりますことをあわせてご報告いたします。
今回のコンクールで入賞・入選されたみなさんが、今後世界の楽壇で存分に活躍されますことを心より念願しますとともに、コンクールを後援してくださいました、外務省、文化庁、東京都、NHK、また、社団法人日本オーケストラ連盟のご協力、アサヒビール株式会社様のご協賛に、心より御礼申し上げますとともに、組織委員、実行委員、審査委員、関係者の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。今後とも東京国際音楽コンクール<指揮>が高いご理解、ご支援をいただくことを心から、念願し、また感謝を申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。

審査委員長挨拶
外山雄三(審査委員長)

最初に説明いたしますと、1位、2位なしで、3位、ということが、ご質問の中に出るかもしれませんが、今までの過去のコンクールと比べて、過去の誰と比べて今回の人はダメ、逆に今度の人はとびっきり良かったけれど、審査委員が厳しくて、3位になってしまった、というわけではなく、ストレートに1位2位なしで第3位ととらえていただけると嬉しいと個人的には思っております。このコンクールが出来ました時から、今日まで、私は全部に立ち会っておりますが、国籍による区別もまったくありませんでした。

審査委員より
  • クレール・ジボー (フランス)

    皆さん、こんにちは。私は今回が初来日で、指揮者コンクールの審査委員を務めるのも初めてになります。プロ中のプロとしての、抜群の運営に心から感動したと同時に、皆さまの支援を受けながら、素晴らしいコンクールになったと民音の皆さまに心からの感謝を申し上げます。
    私にとって、全てが初めてということで、(宗教的表現になりますが)まるで洗礼を受けたような気分になりました。著名な最前線で活躍されている素晴らしい先生方と共に審査させていただくことも、私には最大の喜びで、このコンクールを通じて、今後、指揮を教えることにも携わっていきたいと、改めて私自身のキャリアプランを考えるきっかけともなりました。また、女性指揮者として、今回のコンクールの本審査の参加者の1/3が女性だったということは~女性だからといって特別扱いすることはできないのですが~心から頼もしく思っています。
    今回入賞したミハイル・レオンティエフは、楽譜に対しても、自分の演奏に対しても、オーケストラに対しても非常に謙虚な姿勢で終始一貫していました。指揮者というのはとかくナルシストで自己中心的な世界に陥る中において、素晴らしい事だと思います。(通訳:藤井香)

  • ペーター・ギュルケ (ドイツ)

    今回、コンクールの審査委員としてお招きいただいたことに、そして、今回のコンクールが隅々にいたるまで素晴らしいものであったことにお礼を申し上げます。指揮者コンクールで重要な立場となるオーケストラの皆様が非常に協力的であり、素晴らしい演奏をしてくださったことに感謝しています。また、参加者のみなさんが厳しい条件の中、成果をあげるべく努力されたことも述べておきたいと思います。そしてレオンティエフさんには心からお祝い申し上げたいと思います。
    指揮者に様々な能力が求められます。耳、楽譜を読み取る力、オーケストラに伝える技術、楽譜に対するイメージ、オーケストラとのコミュニケーションなど、これらが一人の人間に全て備わっていることはありえないわけで、それらが様々な形で備わっているものを評価するのは難しいことです。また、オーケストラの技術が向上していることも影響し、指揮者がいかにあるべきかも変化しています。様々な力をまとめていくために、さらに高い能力が求められてくるのも当然です。
    コンクールは順位だけが重要なのではなく、そこでさまざまな人々と知り合い、知識・経験を交換する場を与えるということが大切だと思っています。そうした意味で、今回のコンクールが素晴らしい結果をもたらしたことを嬉しく思っております。(通訳:水野明美)

  • ライナー・キュッヒル (オーストリア)

    私は今回の審査委員の中で、唯一指揮者ではなく、指揮者の足元で実際に演奏している立場の者です。私は39年間コンサートマスターとして仕事をしていますが、月に2回以上は新しい指揮者と仕事をしているので、常にコンクールの立場に置かれているような状況です。今回、コンサートマスターの立場として、審査委員に加わり、指揮者コンクールに参加し、様々なものの見方ができたことを嬉しく思っています。
    私のようにオーケストラの立場の人間が加わることにより、コンテスタントたちが非常に難しい状況になったことでしょう。様々な楽器が集まったオーケストラの中では、様々な状況が絡むので、指揮者の意図を各奏者に伝えていくのは難しいことです。
    今回は入賞者が一人だけでしたが、今回の参加者皆さんは、今後も精進していただきたいと思っています。指揮の一番重要な仕事とは、タクトを振るだけではなく、音楽を人々が体験し得るものにしていくことなのですから。(通訳:水野明美)

  • ヨルマ・パヌラ (フィンランド)

    皆さま、こんにちは。私はこのコンクールには今回で4回目の審査委員となります。民音が素晴らしい運営を行い、また、数多くの新進気鋭の指揮者と出会えたことを嬉しく思います。私は40年ほど指揮者教育に携わってきました。60年代から各コンクールを通じ、様々な違うタイプの指揮者と出会ってきましたが、いずれも、自分の意図をいかに自分がやってほしいように、オーケストラに伝えるかが大切になります。今回は残念ながら正確な指示が伝えられなかったと思っております 。(通訳:アルナ斉藤)

  • ユベール・スダーン (オランダ)

    こんにちは。私も今回が初めての審査となります。たくさんの若い指揮者(同僚)と出会えたこと、審査員の方々と一週間にわたって沢山のコミュニケーションを取れたことは素晴らしい体験でした。
    若い指揮者が成功するためにはコンクールが登竜門となります。私は指揮者になる前はホルン吹きでした。指揮者として抜擢されるチャンスに恵まれている人もいますが、私はとにかく数多くコンクールを受けるよう勧められ入賞を重ねることで、徐々に指揮者としての道が開けました。民音が指揮者コンクールを主催しているのは素晴らしいことだと思います。このようなコンクールに携われたこと、そして、素晴らしい日本のオーケストラ(東京交響楽団)で指揮ができることに対し、私は日本にとても感謝しています。(通訳:アルナ斉藤)

入賞者あいさつ
ミハイル・レオンティエフ(第3位)

今回、3位を受賞でき、非常に光栄です。この受賞が、音楽家として、指揮者としての活躍のステップになると思っています。
ロシアでは、アジアの音楽家は最も優秀な音楽家だと思われています。昨年、プロコフィエフ指揮者コンクールに参加した際、私以外のファイナリストは全員アジアからの参加者でした。ですから、アジアのコンクールで3位という成績を収められたことは私にとって非常に名誉なことです。
ここで申し上げることではないかもしれませんが、私の師匠のことを話させてください。私の師匠、ヴラディスラフ・チェルヌシェンコはソ連の功労音楽家で30年間にわたり、サンクトペテルブルク音楽院の学長を務め、また35年にわたり、500年以上の歴史を誇るグリンカ記念サンクトペテルブルク国立アカデミー合唱団を率いています。
私の能力の95%は彼から教わったものです。ステージに上がるたびに、師匠の信頼を裏切らないことを心がけています。今回、素晴らしい先生方に審査されるということで、非常に緊張しましたが、オーケストラのみなさんが素晴らしい演奏をしてくださったことに心から感謝しています。(通訳:藤野美香)

質疑応答
  • ミハイル・レオンティエフ
    レパートリーについて

    現在、コーカサス地方のアカデミック・シンフォニー・オーケストラで働いているのですが、モーツァルト、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフなど幅広く演奏してます。

    今後やっていきたいレパートリーについて

    まだ勉強の最中なので、どの作品に対しても興味を持っていますし、優先順位はつけていません 。

  • ヨルマ・パヌラ
    1位、2位なしについて

    オーケストラとのコミュニケーションがうまく取れなかったのが原因だと思います。指揮者は自分の考えやビジョン、意図をオーケストラに伝えなければならないので、身振り手振りを交えて、いかにオーケストラに伝えていくか、が足りなかったように私は思います。

  • 外山雄三

    審査委員会で、1位の投票、2位の投票と進めた際に該当者がいなかった。それだけの話です。他の年と比べて、ということはありません。このコンクールの方針で、前と比較するということはありません。その時の審査委員会で話し合って決定しています。