2009
15th
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本選レポート

ミハイル・レオンティエフ
(第3位)

2009年 第15回東京国際音楽コンクール<指揮>の本選。世界33の国・地域から参加した152名の中から予選を勝ち抜いてきたファイナリストは3名。
1月1日(日)本選会場は、第一次予選、第二次予選と同じく抜群の音響を誇る東京オペラシティコンサートホール。
13時から東京交響楽団を振って、課題曲の演奏。メンデルスゾーン作曲の序曲「ルイ・ブラス」(ブライトコップフ版)をジュリアン・ルロワ(フランス)、ミハイル・レオンティエフ(ロシア)、松井慶太(日本)の順に演奏。ほんの10分ほどの演奏時間だが、冒頭の重々しい和音に始まり、快活な第1主題、優雅な第2主題を経てクライマックスに至る、指揮者の個性の見せどころ満載の曲。既に指揮者としてのキャリアを重ねている3人だが、コンサートとは違った空気に、また、ファイナリストとしての気負いからか、緊張感がひしひしと伝わってくる。課題曲については、短時間の中でいかに自分の世界を醸し出せるかが勝負のようだ。
夕方17時からはオーケストラが新日本フィルハーモニー交響楽団に変わり、自由曲を演奏。ルロワはブラームスの交響曲第2番から第2・4楽章を、レオンティエフはグリンカの幻想曲「カマリンスカヤ」を、松井はチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」から第3・4楽章を演奏。交響曲を演奏した2人は第1楽章から音楽を築き上げてのクライマックスではなく、いきなりハイライトの演奏となるので、オーケストラをどう駆り立てるか、観客をどう乗せるかが難しいところ。時に焦りが見られたり、オーケストラとの疎通の難しさにヒヤリとする箇所もあったが、勢い良くグイグイとオーケストラを引っ張る姿に盛大な拍手が贈られた。
なお、今回は第1位、第2位ともに該当なしという結果に。第3位にミハイル・レオンティエフが入賞し、副賞としてアサヒビール賞も授与。入選となった松井慶太、ジュリアン・ルロワには入選の奨励賞が与えられ、それぞれ温かい拍手に包まれた。3人それぞれ、生き生きとした世界を繰り広げ、残念ながら優勝者ナシとはなったものの、コンクールのレベルの高さを立証する素晴らしい光景だった。

授賞式を終えて
(左からミハイル・レオンティエフ、ジュリアン・ルロワ、松井慶太)
  • ミハイル・レオンティエフ (第3位入賞/ロシア)

    2000年サンクトペテルブルクの国立グリンカ合唱学校を卒業。
    その後、リムスキー=コルサコフ国立音楽院で合唱指揮をタチアナ・ネムキナ=マルティノヴァ教授に師事。指揮を3年間、ヴラディスラフ・チェルヌシェンコ教授に師事。
    2008年、サンクトペテルブルクで開催された第5回国際プロコフィエフ指揮者コンクールにて特別賞とヤマハ賞を受賞。2009年2月より、コーカサス地方ミネラルウォーター地域のアカデミック・シンフォニー・オーケストラの指揮者として活躍。

  • 松井慶太 (入選/日本)

    2007年、東京音楽大学指揮科卒業。日本フィルハーモニー交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、山形交響楽団、群馬交響楽団、京都市交響楽団等を指揮。また、NHK交響楽団定期演奏会(シャルル・デュトワ指揮:ストラヴィンスキー「エディプス王」/東京混声合唱団)の合唱指揮者を務めた。指揮を広上淳一、汐澤安彦両氏に師事。

  • ジュリアン・ルロワ (入選/フランス)

    パリ国立高等音楽院卒業。2003年よりパリの青年オーケストラ"OJAL"、パリ・リヴドロワ交響楽団の音楽監督兼指揮者。スイスのヴェルビエ音楽祭交響楽団、カナダの国立芸術センター交響楽団等を指揮。2008年にイタリアで開催されたアントゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールのファイナリスト。